NHKおんな太閤記、第五回「墨股築城」気にならない道理がない台詞と語り

 

NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第五回「墨股築城」の台詞と語り集です。

ネタバレ、御免!

 

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第五回「墨股築城」の概要

NHKオンデマンドの場合

信長は、秀吉の申し入れで対面に訪れた鵜沼城主・大沢基康を斬るように命じます。そうなると、鵜沼城に残り人質になった秀吉の命が奪われます。ねねの願いが通じたのか、利家と柴田勝家が信長を説得して、基康の斬殺を思いとどまります。秀吉は人質から解放されると、長良川の対岸に墨俣(すのまた)城を築く総大将を引き受けます。敵を前面に迎え撃ちながらの危険な築城です。ねねは秀吉の身を案じながらも覚悟を決め励まします。

大河ドラマ おんな太閤記(たいこうき) 第 5回 墨股(すのまた)築城 -NHKオンデマンド
信長は、秀吉の申し入れで対面に訪れた鵜沼城主・大沢基康を斬るように命じます。そうなると、鵜沼城に残り人質になった秀吉の命が奪われます。ねねの願いが通じたのか、利家と柴田勝家が信長を説得して、基康の斬殺を思いとどまります。秀吉は人質から解放されると、長良川の対岸に墨俣(すのまた)城を築く総大将を引き受けます。敵を前面に迎...

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気にならない道理がない台詞と語り

登場人物の台詞(七、八割以上)と語りを網羅しました。

 

おみつの一存

みつにございます。お見覚えございますか?(おみつ)

あー、なんぞあったのか?(小一郎)

即刻、小牧へ御出で願いませぬか?はいえ、これはあたくしが御役目を離れてのお願い。ねね様御独りで御心痛遊ばしておられるのが御いたわしゅうて、あたくしの一存でまいりました。ねね様の御力になってくださいまし。(おみつ)

どうしておいでなのじゃ?(小一郎)

初対面の小一郎と小六

おう、小一郎殿か。ねね殿なら居られませぬ。山の中腹にある祠(ほこら)へ、秀吉殿の御無事を祈って参籠(さんろう)なされております(まつ)

では、兄者はまだ?(小一郎)

ねね殿の胸中如何ばかりかと、私も胸を痛めておりますが、私では何の力にもなれませぬ。小一郎殿がお見えになったらさぞ力強御思いでしょう。よう来てあげてくださいました(まつ)

儂はあのうつけを許さんぞ!!(小六)

小六殿、御城の首尾は?(まつ)

話にならん。あのうつけまだ基康を斬ると喚(わめ)いておるそうな。(小六)

信長さ基康を成敗なされたら、人質になってる兄者の命は?(小一郎)

あっ、秀吉殿の弟御、小一郎殿です。秀吉殿を案じられて中村から。(まつ)

おー!お主のことはよう聞いておる。儂は秀吉殿の家臣で、蜂須賀小六。以後お見知りおきを願いたい。(小六)

しかし、お主の兄者も因果な御人をよのお。あのような血も涙もない男を主に持って。秀吉殿はこれまで、あのうつけを信じて尽くしてこられた。その秀吉殿を見殺しにするという。儂は許せん!もしあのうつけが基康を斬ったら、儂は信長を殺す。たとえ刺し違えても生かしてはおかんわ。(小六)

小六殿(まつ)

誰に聞かれてもかまわん。儂は信長という男が大っ嫌いじゃあ!(小六)

祠で参籠のねね

あっ、小一郎殿!(ねね)

もうお止めなされ。傷が咎(とが)めでもしたらどうなさる?(小一郎)

おなご(女子)とは情けないもんじゃ。秀吉殿の御命が危ないというのにどうすることもできぬ。ただ、神仏にすがるだけじゃ。祈ることだけが。(ねね)

はー、でもよう来てくだされた(ねね)

おみつ殿の知らせで。(小一郎)

おみつ殿?(ねね)

義姉様の身を案じて、義姉様思いじゃ、あの女子(おなご)は。(小一郎)

さっ、そろそろ戻られた方がいい。もうすぐ日も暮れます。儂が背負って差し上げよう。さっ!(小一郎)

基康、危機一髪!

何をためろうておる。基康はこれまで美濃の手勢として散々尾張に楯突いた男ぞ。基康との戦にどれほどの兵を犠牲にしたか、忘れたわけではあるまい!今更信長に味方をすると言うても遅いわ。
儂に楯突いた者への見せしめじゃ。基康のために命を失うた者たちへの供養でもある。斬れと言うたら斬れ!(信長)

それだけはなりません。穏便に引見遊ばされて、和を結ぶのが、織田家の御為と心得まする。(勝家)

サルの命が大事と申すか?(信長)

秀吉の命など小さいこと。殿、織田家の御為に、短慮はお控え遊ばしますよう。秀吉の労により数多の川並の土豪衆をお味方につけることができました。これからも、殿の威光を慕うて寝返る者も増えましょう。しかし今、基康を成敗なされたら、殿になびいた者なびこうとする者、皆殿に、猜疑の念を抱くようになるのは必至。さすれば、多くのお味方を失うことになりまする。基康一つの命と殿の御信用と、いずれが大事にござりまするか?小の虫の為に、鼎(かなえ)の軽重を問われるようななされ方は、いつか、織田家の災いの元となりましょうぞ(勝家)

基康をこれに呼べえ。(信長)

儂の言うことが聞けぬのか!(信長)

基康殿をこれへ(利家)

基康か!近う近う!(信長)

鵜沼城主、大沢基康、此度、木下藤吉郎秀吉殿を御使者にお申し越しの儀、よろこんでお受けいたします。(大沢基康)

大儀であった!(信長)

以後織田家の為に忠誠を励んでくれい!(信長)

秀吉、生還

ねね殿、秀吉殿は御無事じゃ。御安堵なされい。(利家)

基康が無事鵜沼に引き上げた。小六殿が秀吉殿を迎えに基保と共に。明日には秀吉殿も戻られよう。ねね殿の祈りが神に通じたのじゃ。秀吉殿は果報者よ、よいおかかを持たれて、はっはっはっはっはっはっ。よかったのう、ねね殿!(利家)

おう、小一郎、案じて来てくれたそうな、小六殿から聞いた、余計な心配しおって、はっはっはっはっはっ(秀吉)

兄者を案じて来たのではない。義姉様のことが気がかりだったからじゃ。(小一郎)

ねねがどうした?(秀吉)

兄者、兄者はもう一人ではない。少しは義姉様のことも考えろ。何も自分から買うて出て、
危ない橋を渡るような真似をすることはないではないか。(小一郎)

儂が何をしたというのじゃ?儂は精一杯お勤めを励んだだけじゃ、はっはっはっ(秀吉)

もどったぞ、喜べ、おかか!(秀吉)

このような所で何をしておる?おかか、秀吉じゃ、嬉しゅうはないのか、おかか、おかか(秀吉)

何をする、おかか!(秀吉)

好きなだけ殴ればいい。それで気が済むなら、いくらでも殴られようぞ、ん?(秀吉)

儂の為に祈ってくれたそうな。礼を言うぞ。(秀吉)

もう、嫌じゃ!こんな思いするなら、死んだ方がましじゃ!(ねね)

はは、すまんすまん。じゃがこうして、生きて帰ってきたではないか、ははははは、のう、大事なおかかが待っていてくれるんじゃ、むざむざ命を落とすような馬鹿なことをすると思うておるのか?(秀吉)

でもお、信長様は御前様を、見殺しにしようとなされたではありませぬか。(ねね)

殿は気性の激しいお方じゃ、カッとなさることもあろう。じゃがのお、損得の分別は人一倍わきまえておられる御方じゃ、のう、はっはっはっはっはっはっ、殿を信じられなければ、信長様にお仕えなどしたりはせぬは、はっはっはっはっはっ、瘦せたのう、苦労かけた(秀吉)

よう、よう御無事で戻られました。お酒の支度をいたしましょう。祝い酒じゃ、今宵は皆様と存分に。(ねね)

それでこそおかかじゃ、儂のおかかじゃ(秀吉)

秀吉の生還祝い

いや、流石の儂も一時はどうなることかと思うた。柴田勝家殿の御執り成しがなくば、今頃お主は三途の川でうろうろしておるところであったぞ。勝家殿は、お主の命の恩人じゃ、疎(おろそ)かに思うてはならんぞ。(利家)

そのようなこととは露知らず、儂は鵜沼城で鼻毛を抜いておった、はっはっはっはっ(秀吉)

当分、勝家殿には頭が上がらんのお(秀吉)

これでいよいよ美濃攻めじゃ(利家)

やっと儂も、秀吉殿の御力になれる時がきた、腕が鳴るわ(小六)

あー小一郎、これから面白うなるぞ。本当の戦がどんなものか、お前にも見せてやる。儂と一緒に来ぬか?お前がいてくれれば儂もどれほど心強いか。やはり頼りになるのは血を分けた者じゃ、儂にはお前しかおらん。(秀吉)

御冗談にもそのようなことを。小一郎殿は御前様に代わって、田や畑を守り中村の家を継ぐ御方。戦に巻き込むようなことになってはなりませぬ。小一郎殿も、しかとそれだけは。(ねね)

万が一そのようなことになっては、あたくしが義母様に顔向けできませぬ。(ねね)

小一郎、帰らず

小一郎殿、いろいろお世話になりましたなあ(ねね)

追い立てるわけではございませぬが、義母様がお待ちかねじゃ。早うお帰りなさいませ。義母様に持ってっていただく物を支度してありますほどに。(ねね)

しばらく居てくれと兄者が(小一郎)

中村にはきい達が居ります。おっか様の面倒はみてくれましょう(小一郎)

秀吉殿の言うことを聞いていたらどんなことになるか(ねね)

力になる親類縁者がない。儂を頼りにしているならせめて。それが兄弟の情というものでのう。(小一郎)

墨股の砦、誰がこしらえる?

永禄九年、夏も終わりに近いある日、信長はその機が熟したとみて、美濃の斎藤龍興の居城、稲葉山を真っ向から攻撃する決意を固め、主だった家臣を集めて作戦会議を開いた(語り)

稲葉山攻略にはまずう、西美濃の長良川の彼岸!この三角州の墨股に堅固な砦を築くことが肝要じゃ。この砦を根城にして稲葉山を攻める。それ以外に手段はない!(信長)

確かに、殿の仰せの通りじゃ。しかし、墨股は美濃と境を接し、全面に敵を迎え撃たねばなりません。戦うことでさえ、容易ではないのに、そこに砦を築きこれを守り続けることなど至難の業。悪戯に、兵を犠牲にするだけでござりまする。(勝家)

そのぐらいのことは百も承知じゃあ!龍興とて、そのような無謀なことはすまいと高を括っておるわあ!それ故やるんじゃあ!まともなことをやっていては勝てはせぬ。できぬことをやるのが、勝ち戦の常道じゃあ!(信長)

我と思わん者は申しでい!墨股築城の総大将を申しつける。誰もおらんのか!(信長)

恐れながら、勝家殿の申されるように、この作戦あまりにも危険であり、しかも築城は不可能かと心得ます。改めてほかの手段を用い遊ばしますよう。(勝家の右隣に居た家臣)

たわけえ!これしきの事ができんでようぬけぬけと家臣団が(務まるのか)!

信長が早口過ぎて語尾が不明瞭(笑)

 

腰抜けどもがあ!誰もおらんのかあ!(信長)

殿!然らば、拙者めがやらせていただきましょう。(秀吉)

よかろう、やってみい。ただしい、やり損じたらそのままでは捨て置かんぞ(信長)

ややがすでに周知済

おかか、喜べ。いよいよ儂にも運が向いてきた。時節到来じゃ。此度の墨股築城の総大将を仰せつけられた、はははははは。(秀吉)

何が目出度いのじゃ?(やや)

秀吉殿の功名心で勝ち目のない危ない戦に連れていかれる者は、いい迷惑じゃ!(やや)

相変わらずよのお、やや殿は(秀吉)

申し訳ございませぬ。気に入らぬことがあると、すぐあのように(ねね)

何か儂に?(秀吉)

どなたも尻込みなされた、墨股築城とやらを、秀吉殿が買うて出られたとか。(ねね)

案ずるな、できんものをお引き受けしたりはせぬわ。(秀吉)

秀吉、弟をくどく

しかしのお、口で言うのは安いが、墨股といえば、まるで敵の中に砦を作るようなもの。そんな離れ業。(小一郎)

墨股じゃからできる。後ろは川じゃ。敵は前からしか攻められん。その敵を防ぎながら川を利用して材木を運ぶ。それができるのは墨股の地の利以外はない。流石は信長様じゃ。儂と同じところに目をつけられた。信長様はのお、儂の計略を喜んで賛成してくだされた。(秀吉)

また義姉様、気苦労なされるわ(小一郎)

侍のおかかになったんじゃ、仕方あるまい(秀吉)

儂にはのお、心を許す者が居らん。何千の兵を配下に持つ、総大将を務めてものお。信長様の御家来をお預かりしてるだけじゃ。儂の家来は一人も居らん。また家来を持てる身分でもない。それが何とも心細おてのお。のう、小一郎。お前がついていてくれたらのお。(秀吉)

今度の戦はのお、儂にとっても一世一代、秀吉の将来を賭けた大仕事じゃ。助けてくれんか?(秀吉)

しかしのお、儂は戦の仕方も知らん。なんの役に立つというんじゃ。足手まといなるだけではないか。(小一郎)

儂じゃとてそうじゃった。だがここまで来た。のお小一郎、戦は槍や鉄砲でするのではないぞ。ここでするんじゃここで。お前にもいずれわかる時が来る。(秀吉)

のお、今度だけでいい、一緒に来てくれぬか?頼む(秀吉)

お支度が出来ました、さあどうぞ(ねね)

あーすっかり秋の風よのおっほっほっほっ。そろそろ茸が出るぞ。小牧山の茸は美味いぞっほっほっほっ。ゆっくりしてえ、キノコ狩りでもしてから帰ればよいではないか、あー?(秀吉)

ねねの改心

連れ添ってもう五年になります。色々なことがございました。あきらめることも、覚えました。わたくしがいくら言うても、御前様は御自分の思ったとおりなさる。黙ってついてくよりほか仕方がございません。ただの功名心でなされるのではないとゆうことも、お引き受けなされたからには、
必ずやり遂げる自信がおありだということも、もう御前様のことは心配いたしませぬ。案ずるだけ、損でございます。(ねね)

ただ、小一郎殿を御連れすることだけは反対でございます。でも、どうあってもお連れになるのでございましょうな。(ねね)

まいったまいった、おかかとは恐ろしいものよのお。(秀吉)

義母様には、わたくしからようお詫び申し上げておきましょう。(ねね)

御前様。わたしは御前様に、出世をしていただきとうはございませぬ。御前様は、その時その時を精一杯生きていきたいと言うておられた。わたしは御前様に、悔いのない生き方をしていただきたいのです。そのためでしたら、どのような苦労も厭いません。思う存分お働きなさいませ。(ねね)

私も強うなります。強うならねば、とても秀吉殿のおかかは務まりませぬ。(ねね)

墨股築城計画

墨股築城の準備がはじめられた。信長は、まず大兵を率いて、美濃とは正反対の伊勢の大名、北畠具教を攻める用意を整えると触れさせ、二千間の塀をこしらえるための板、柵にするための木材五万本などを駆り集めさせ、この噂が稲葉山に伝わると、斎藤龍興は、信長が美濃をあきらめて伊勢の北畠を攻めるらしいと安堵した。秀吉の思う壺である。そして、いよいよ織田全軍を上げての墨股築城の日が近づいた。尾張の国中の兵力を三つに分け、その三分の一の軍勢で敵の奇襲に備え、残り三分の二の人数で砦の工事にあたる計画であった。(語り)

ややと弥兵衛の祝言

弥兵衛殿と祝言?また急な話じゃのお(ねね)

間もなく大きな戦がはじまる。弥兵衛殿も出陣なさると決まったそうじゃ。(やや)

ならば、御出陣前の慌ただしい時に祝言せずとも。無事、御帰還なすってからでも(ねね)

みんな秀吉殿のせいじゃ。何を考えておられるのか知らぬが、誰もが無謀と反対をなされたものを、秀吉殿にできる道理がないではないか。(やや)

弥兵衛殿にもしものことがあったら、一生悔いが残る。御無事なうちに祝言を挙げて、心残りのう弥兵衛殿をお送りしたい。一日でもいい、弥兵衛殿の女房になれたら、もう思い残すことはない。(やや)

お姉さまからも、お父様やお母様にお願いしてくだされ。この通りじゃ(やや)

それほどまでに弥兵衛殿を。それが、おんなの心というものかもしれぬのお。(ねね)

出陣の間際の慌ただしさの中で、弥兵衛とややの祝言が、浅野家でささやかに行われた。弥兵衛は、秀吉の代わりに浅野家へ婿に入ったのである。(語り)

やや、おめでとう。末永く睦まじうに(ねね)

いやあ、目出度い。儂も立派な義弟ができた。これほど心丈夫なことはないわ(秀吉)早速殿にお願いしてのう、ん、いや、儂の配下に頂戴しよ(秀吉)

はっ、ありがとうございます。秀吉殿のような御方を義兄様に持って、果報者でこざいます。(弥兵衛)

わたしは反対じゃ。何も秀吉殿の下で危ない御勤めでもすることはないわ(やや)

弥兵衛殿、卑怯と言われてもよい。敵に後ろを見せてもよい。生きていてくだされ。死んではなりませぬ。手柄を立てようなどと思われますな。生きて、ややのところへ買ってきてくださればそれでいい。必ず、必ず帰ってきてくだされ。(やや)

おかかの役目

利家様。お腹のややの為にも御無事で(まつの心の声)

御前様、存分の御働きを(ねねの心の声)

秀吉と小一郎を送り出すと、ねねはすぐ中村へ急いだ(語り)

申し訳ございません。わたくしがついておりながらこのようなことに(ねね)

ではその、墨股とやらの戦に連れてったというのか、小一郎を(なか)

はい今朝、秀吉殿とともに御出陣なさいました。それで、急いでお詫びに(ねね)

あの、戯け者めが!(なか)

おっかさん、男同士の兄弟というものはそういうものかもしれぬわ。(きい)

秀吉殿は小一郎殿を頼りになさっておられる。小一郎殿も兄様思いでおられます。おなごのわたくしが口出しはできません。(ねね)

行ってしもうたものを、今更どういうたところで。小一郎だけはと思うておったが、小一郎も、やっぱりただの男だったのじゃ(なか)

いやいや、儂にはようわかる。今の世の中、男ならいくたんでて手柄を立てることじゃ。藤吉郎殿を見ればわかるではないか。小一郎殿が兄様につかれるのも、男なら当たり前のことじゃ(嘉助)

何を言う、田畑を耕しておれば、お天道様も土もちゃんとお恵み下さるう。食う物にも困りはせぬ。矢玉に当たって死ぬ心配もない。(きい)

命をかけるからこそ、出世もできるんじゃ!どんなに働いたところで、死ぬまでこんな暮らしではのう(嘉助)

嘉助、おまえ!(なか)

その砦とやらを築かれたら、藤吉郎殿はまたたちまち御出世じゃ。はー、儂の一生とは天と地ほどの違いじゃのお(嘉助)

つまらぬことを言ってないで、畑に出てほら、草取りが待っとるぞ(きい)

戦の恐ろしさも知らいで、儂ゃ、藤吉郎のことはとうにあきらめておる。小一郎も死んだと同じじゃ。二度とここへは戻ってくるまい(なか)

義母様、小牧へおいでくださいませぬか。秀吉殿に代わって、わたくしがお仕えさせていただきます。(ねね)

儂ゃ、田畑がのうては生きられぬ。儂はここを動かん!儂の心配などいらぬわ。(なか)

墨股築城

その頃、墨股では、着々と砦構築作戦が進められていた。この日の為に密かに駆り集められていた板や材木は、日没とともに急遽木曽川の上流に運び、いかだに組んで川下に流させ、砦に運んだ。

一方信長は、自ら大兵を率いて小牧山を出発。夜半墨股に着くや、休む間もなく砦の工事を急がせた。

夜が明け、稲葉山から眺めると、眼下に織田方の大兵が蟻のように群がって砦を築いている。稲葉山の斎藤龍興は地団駄踏んで悔しがり、慌てて墨股を攻撃したが時すでに遅く、秀吉の巧みな砲戦のうち、昼夜ぶっ通しの工事で、二三日後には砦は出来上がってしまっていた。世の言う墨股の一夜城である。

おみつからの報告

案じたところでなんになる。おなごにはおなごの務めがあるのじゃ、留守を守るのが(ねね)

わたしとて同じじゃ。秀吉殿に嫁いで、どれだけ辛い思いをしたか。でもそれに慣れなければ、侍の妻は務まらぬ。ややにこんな話をしても無理じゃの(ねね)

墨股の砦は無事に(おみつ)

秀吉様も、小一郎殿も、弥兵衛殿も小六殿も御無事にございます。(おみつ)

おみつ殿は、秀吉殿の御使いじゃ、嘘はない(ねね)

秀吉様は砦の守備の為に墨股へ残られます。しばらくは御戻りにはなれませぬ。小一郎殿も弥兵衛殿も小六殿も秀吉様とともに。(おみつ)

信長様の御配慮の由にございます。(おみつ)

なお、戦死なされた者、手傷を負われた者などもおられます。激しい戦にございました。(おみつ)

おみつ殿も苦労なされたろう。さっ、お休みなされ(ねね)

いえ、お役目がございますほどに(おみつ)

お美代の御前様が!

やや、ぼんやりしてる時ではないわ。皆様が引き上げてくると忙しくなる。ややも、手伝ってもらわねば。(ねね)

ねね殿、御苦労じゃの。(利家)

何もお役に立ちませぬ(ねね)

御前様あ!(美代)

残念じゃが、今息を(名無しの足軽)

ねねさまあ、この人わたしひとりを置いてえ。御前様、必ず生きて帰って来るって言うたではないかあ。御前様あ!(美代)

今は待機

墨股築城の成功は、秀吉が長年に渡って川筋の土豪達を懐柔してきた努力が実ったものであった砦。を預かることになった秀吉は、このあたりの地理に詳しい土豪や野武士達を砦に集め、攻撃してくる龍興の軍勢を防戦しながら、時には敵陣を奇襲しつつ、稲葉山城を陥れる時をうかがっていた。(語り)

いつまでこんな鳥小屋のような所でうじうじしておるのじゃ。稲葉山は目の前、一気に叩き潰して早うけりをつけようぞ。そのための砦ではないか。守るだけが能ではなかろうが(小六)

今は龍興も我らが攻めるのを手ぐすねを引いて待っておる。(秀吉)

秀吉殿、お主何を企んでおる?(小六)

お美代を召し抱える

一方、留守を預かるねねも忙しかった。出兵している秀吉の配下の家族の面倒から、足軽たちの女房や娘を集めて、籠城に必要な物を作るのも、ねねの仕事であった(語り)

少しは落ち着かれましたか?(ねね)

はい、足軽の女房になりました時に、いつかはこのようなことになると覚悟しておりました。持って生まれた定めでございましょう。(お美代)

折を見てお話ししようと思っておりましたけれども、お美代殿にはお子もない、頼る方もない、とうかがっております。よろしかったら、うちへ来てくださいませぬか?(ねね)

秀吉殿も戦が続けばおらぬことも多くなりましょう。ひとりでは心細い時もあります。考えてみてはくださいませぬか。(ねね)

ありがとうございます。わたしのような者を御心にかけていただきまして(美代)

おなごはおなご同士、助け合っていきましょう。このような世の中でありますからこそ、なお。(ねね)

新たな展開

義姉様、嘉助さが家を出てしもうて(きい)

兄さのところへ侍になると、墨股へ!(きい)

おっかさと二人で止めたのじゃが、今朝起きてみたら姿がないのじゃ(きい)

兄さんに言うてくだされ帰すように、お願いじゃ、義姉様から言うて嘉助さを帰すように、お願いじゃ(きい)

女の身で墨股へ行けるかどうか、果たして砦へ入れるのか、ねねにはわからなかった。でも行かねばならぬと、ねねは心に決めていた。ねねは秀吉の出世とともに、生涯秀吉の身内の苦労を背負うことになるが、これがそのはじまりであった。墨俣の砦ができてから早三月、永禄九年も師走を迎えようとしていた(語り)

 

NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第五回「墨股築城」

 

次回に続く

「気にならない道理がない台詞と語り」綴り

「気にならない道理がない台詞と語り」の各回まとめ記事

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